第6章 武勇伝改 −2010−
あれから五年、村を救った勇者は救世主として村の中心に祀られるようになり
村の祭りは勇者を称え より盛大に行われるようになった
当時の子供達も大きく成長し 村人の中心となり祭りを盛り上げるようになった
準備を整えて臨んだ祭りの日 例年以上に心踊る賑やかな音色が響き 女達は美しく優雅に舞い 男達は雄々しく神輿を担ぐ
大きく成長した子供達は 祭りに更なる活気を与え その歓声が村に響き渡る。あの山にも…
「ドン!」…悪夢の再来か 毎年続く歓声があの山に共鳴し 退治したはずの鬼を呼び起こす 空が曇り 風が吹き荒れ 森の木々が唸り始めた
あの山の頂上に顔を出した鬼は 雄叫びをあげ 木々をなぎ倒しながら どんどん村に近づいて来る
そこに立ちはだかったのは 当時の子供達である 力を合わせ巨大な鬼に立ち向かい 勇者に負けずとも劣らぬ動きで見事に打ち倒した
空は明るさを取り戻し 村では祭りが再開された 「わっしょい!」の掛け声も一折大きく響き渡り 夜が明けるまで祭りは続いたそうである