第4章
遥か昔 世界の
広大な海は 世界の中心・蒼天より東西に二分され 二頭の龍が棲み支配していた
西に緑龍・碧嵐 東に紅龍・緋焔 二頭は双龍と呼ばれ その勢力により世界は均衡を保っていた
蒼天より続く東西の海境には 僅かな大陸と島々が連なり この一線を黄閃という
果てしなく続く海原 数百年に一度 黄閃上にて双龍が出遭うとき 世界に災いを齎すといわれ 人はこの災いの日を如無と呼んだ
この時代 幼き頃に生き別れた兄妹が 十年後の再会を誓い黄閃に生きる
永い時間 互いに知らぬ地で暮らす兄・碧惟と妹・緋音
そして誓いの日 碧惟と緋音は約束の地・蒼天へと向かう
再会まで一里一刻というとき 運命の悪戯か 兄妹に先んじ双龍が出遭う
双龍は雷雲を呼び竜巻を起こし 黄閃の大陸と島々は荒波に飲まれ無と化した
そして兄妹の誓いも儚く散る
しかし 天より窺いし神により 兄妹は天に召され 神使として双龍に遣わされる
碧嵐に碧惟 緋焔に緋音 二人の神使の降臨により 双龍は争いを止め 海も静寂を取り戻す
それ以来 双龍と神使は共に生き そして数百年に一度の如無の日は 兄妹の再会の喜びにより 海は色を帯び その波は華やかに漣む
後に 如無の日の海は色舞海と呼ばれ この日に交わす約束は必ず叶うという